厳しさも思いやり
人材育成コンサルタントとして関わる企業で、
私は社員一人ひとりと面談を行いました。
ワークシートに記された仕事や組織に対する率直な意見を聞き、
心の声を引き出す中で、ある上司に対する苦情が次々と寄せられました。
「何とかしてほしい」「最近、変わった」「もっと部下のことを考えてほしい」
――期待と共に切実な思いが溢れていました。
面談後、私は個人を特定されないよう配慮しつつ、
社員たちの声を慎重に経営者へ伝えました。
職場改善の参考になるよう提案し、
問題の上司本人と直接話をさせてほしいとお願いしました。
直接伝えることが彼にとって最も誠実な向き合い方だと考えたからです。
また、彼ならきっと受け止めてくれるという確信もありました。
数日後、「どうしても面談内容を聞かせてほしい」と彼が私のもとを訪れました。
私は彼の成長を願い、あえて厳しい言葉を選びました。
「あなたに対する評価は厳しいものです。
社員の多くがあなたの態度に不満を抱いており、
このままでは職場が疲弊してしまいます。」
と率直に告げました。
彼は驚きの表情を浮かべましたが、
「わかっています。自分が変わらなければいけないんですよね。」
と静かに答えました。
そして続けて、「会社が面白くなくなり、
自己コントロールが効かなくなっていました。
上の立場になると、誰も厳しいことを言ってくれなくなる。
それで甘えが生じてしまいました。」とこれまでの自分をふりかえりました。
その言葉には、自らの弱さを認める誠実さがありました。
「では、最初に何をしますか?」
私がそう問うと、彼は少し間を置いてから
「全員に声をかけ、関係を一からやり直します。」と答えました。
その言葉に、彼の決意を感じました。
私は彼に言いました。
「それは簡単なことではありません。でも、私はあなたを全力で応援します。」
その瞬間、彼の中で何かが動き始めたのを感じました。
もちろん、彼の苦しみは理解しています。
それでも逃げ道を作ることはできません。
この壁を越えることでしか、次のステージには進めないからです。
優しい言葉をかけることは簡単ですが、
今の彼にはそれでは足りません。
彼自身の力で壁を越えることで、成長を遂げられるのです。
厳しさは、ときに最も深い思いやりになる。
私はそう信じています。
彼が自らの力で道を切り開くその日まで、
私は彼の背中を押し続け、見守り続けます。
部下が上司に対して不満を抱えながらも、
直接それを伝えられない場合、
問題が表面化しないまま職場全体が疲弊し、
最悪の場合、離職へとつながることがあります。
私たちは、第三者として社員の声を拾い上げ、
上司や経営層に適切に伝え、
関係の修復を支援することで、
組織全体が前向きに変化するお手伝いをしています。
お困りの際は、ぜひご相談ください。
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