ひとそだちの応援団 研修の現場から

人材育成のヒントやお役立ち情報を掲載しています。

「指導担当者あるある」として、
新入社員をいちばん近くで見ている「指導担当者」の裏話を、
ちょっとだけご紹介します。

K&Yでは、新入社員を迎える準備として、
指導担当者向けのスキルアップ講座も行っています。
その講座の中で必ず出てくる話題があります。

それは・・・
「新人の業務日誌、コメントって必要なんですか?」

この問いに、「あ…読んだ印にサインだけ…」と
苦笑いされる方が少なくありません。

でも実は、業務日誌は「読む」だけでなく、
“励まし・共感・フィードバック”を伝える大切な場でもあるのです。

もしあなたが指導担当者だったら?
以下は実際にありがちな日誌の一文と、それに対するコメント例です。
どれもほんの一言ですが、“心を動かすやり取り”が見えてきます。

① 新人:「今日は入社式がありました。いよいよこの会社の一員になれたのだと嬉しく思いました。」
→指導担当者:「入社おめでとうございます!
早く会社に慣れてもらえるよう、私も全力でサポートします!」

② 新人:「電話応対の練習をしました。緊張しましたが、頑張りました。」
→指導担当者:「緊張しながらも真剣に取り組めていて素晴らしいです!
その調子で成長していきましょう。」

③ 新人:「今日は特にこれといった出来事はありませんでした。」
→指導担当者:「気持ちに少し余裕が出てきた証拠かもしれませんね。
どんな小さなことでも記録に残すと、成長のヒントになりますよ。」

④ 新人:「業務の説明を受けました。伝票の書き方は、間違えないように気をつけたいと思います。」
→指導担当者:「業務で正確さを意識できているのは素晴らしい視点です。
さすがですね!」

⑤ 新人:「いつもコメントありがとうございます。楽しみにしています。」
→指導担当者:「こちらこそ、毎日日誌を読むのが楽しみです!
一緒に頑張っていきましょう。」

私自身も、新人だったころ、日誌を書いて提出するのが日課でした。
翌朝、自分の机に置かれている日誌を開き、
まず先輩や上司のコメントを読んで、ホッとしたことを覚えています。

もしかしたら、あの頃コメントを書いてくれていた方々も、
「今日は何を書こうか」と悩んでいたのかもしれません。
それでも、どんな内容の日誌にも必ずひと言添えてくれていたことが、
何より心強く、ありがたい記憶として残っています。

指導担当者のコメントは、まるで返事のないラブレターのよう。
それでも、ときどき返ってくる「ありがとうございます」の一言が、
大きな励みになるのです。

だから今日も、ひと言を大切に。
新人の心に届くコメントは、長さではありません。
「あなたを見ているよ」「応援しているよ」そんな想いが、
行間から伝わるかどうか。

今日もまた、自分のひと言が誰かの背中をそっと押すことを信じて。
愛あるコメントを贈っていきたいと思います。


「何を考えているのかわからない」の奥にあるもの
~~~新入社員研修で気づいたこと

新入社員研修の場で、企業の担当者の方からよくこんなお話を伺います。

「今年の新入社員は、言われたことはきちんとやるんです。
でも、こちらの問いかけに反応がなくて…
何を考えているのかよくわからなくて」

実は、私自身も毎年1歳ずつ年齢を重ねるなかで、
新入社員がどんどん若くなり、
とうとう自分の子どもより年下の参加者が多くなってきました。
正直なところ、「今の若い人たちは何を考えているのかな」
「本音ではどう感じているのかな」と思う場面も増えてきました。

そんななか、ある出来事が心に残りました。

研修中、一人の女性が、緊張しているのか表情も硬く、
返事も挨拶も小さな声で、周囲を気にしている様子でした。
一生懸命なのは伝わってくるものの、
「もう少し自信を持って声を出せたらいいのに…」と感じていました。

休憩時間、その彼女が私のそばに来て、
ほとんど聞き取れないほどの小さな声でこう言いました。
「ホワイトボード、消してもいいですか?」
私は驚きながらも、「お願いできる?」と伝えると、
彼女は丁寧に丁寧にボードを消してくれました。

お礼を伝えると、彼女はまた小さな声でこう言ってくれました。
「先生が講義の中で、『周りを見て自分にできることを探して
声をかけてください』って言っていたので……」

私は思わず、「そうだったんだね。気づいただけでもすごいことなのに、
実際に声をかけるなんて、本当に勇気がいったでしょう?」と
声をかけました。

彼女は小さくうなずきながら、こう返してくれました。
「はい……。もっと大きな声を出さなきゃとは思ってるんです。
でも、このタイミングで言っていいのか、
迷惑じゃないか……いろいろ考えてしまって、なかなか言えなくて」

このエピソードには、新入社員に関わるうえで
とても大切なヒントがいくつも詰まっていると思います。

①「反応がない=何も考えていない」ではありません。
むしろ、たくさんのことを真剣に考えているからこそ、
動けないという姿があるのだと気づかされました。
新入社員は、「どう見られるか」「正解は何か」
「失敗したらどうしよう」など、頭の中がいっぱいなのです。
その結果、反応が遅くなる、言葉にできない、動きが止まる・・・
そんな状態が起きるのです。

②ホワイトボードを消す。たったそれだけの行動かもしれません。
でもその背景には、
「自分にできることを探した」
「声をかけるタイミングを計った」
「外部講師という年上の大人に話しかけた」
という、たくさんの考えと葛藤、そして勇気ある一歩がありました。
行動の大きさではなく、「その人にとってどれだけ挑戦だったか」に
目を向けることが育成の本質です。

③上司や経営者は「優しいつもり」「フレンドリーなつもり」でいても、
相手にとっては「すごく年上で、ちょっと怖い存在」に映っている
ことがよくあります。

新入社員の多くは、社会人としての“最初の他人との接触”に、
常に緊張と不安を抱えています。
だからこそ、「話しかけやすさ」や「見守られている感覚」を
意図的につくる必要があるのです。

この経験から、私はあらためて実感しました。
「わからない」の奥には、言葉にならない思考や努力がある
小さな行動の中にこそ、“成長の種”が宿っている
育成は“教える”だけでなく、“信じて見守る”ことも含まれる

新入社員は、未来そのものです。
だからこそ、私たちがその未来にどんな期待を寄せ、
どんなまなざしで関わるかが、とても大切だと感じます。

「何を考えているのかわからない」――
その言葉の先には、たくさん悩み、迷いながらも、
今を一生懸命生きている若者たちの姿があります。

彼らがこれからどんなふうに社会人として育っていくのか。
その成長をそばで見守れることは、
上司として経営者として何よりの喜びです。


毎年のことながら4月は新入社員研修が目白押しでした。
講師にとっては、とりわけ神経を使います。
全く白紙の新社会人に対して、
決して自信を無くさせてはいけないと強く感じているからです。
これからの明るい未来に向かって希望をもって進んでほしいからです。
おかげで講師たちは新入社員の皆さんから、
たくさんのプレゼント(学びや気づき)をもらうこともあります。
今回はその中の一部を紹介します。
今回から数回にわたってお届けします。

プレゼント その1
中小企業で、少人数の新入社員研修を担当したときのことです。
対象は全員20代前半の新社会人。
終日、「社会人としての基礎力」と「ビジネスマナー」について
お伝えしました。

長時間の研修で疲れたり飽きたりしないよう、
途中にはペアワークやコミュニケーションゲームも取り入れました。
少人数だったこともあり、一人ひとりの様子を丁寧に見ることができ、
細かなミスがあればその場で具体的に指摘し、
正解が導けた時には、全力でほめました。
講師としても、とてもやりがいを感じる時間でした。

研修の最後に、参加者一人ひとりに感想を話してもらいました。
「正しい言葉遣いを知れてよかったです」
「名刺交換の手順が分かりました」
「営業の仕組みが理解できました」
といった感想が続き、順調に進んでいたのですが・・・

最後の一人が、少し照れながらもこう言いました。
「講師の先生がすごく楽しそうに仕事をしていて、
仕事って楽しいものだと分かりました」

少し驚いて、「え?私が楽しそうだったのが印象に残ったの?」と聞き返すと、
満面の笑みでこう言ってくれました。

「はい!先生、本当に楽しそうでした。
私は正直、仕事って大変なもの、辛いものだと思っていました。
でも、先生が一日中楽しそうに仕事をしているのを見て、
好きな仕事をするってこんなに楽しいことなんだ、
と気づきました。ありがとうございました」

胸がいっぱいになりました。

研修終了後、新入社員と同じく
終日立ち会ってくださっていた人事担当の方が、
私に話しかけてくださいました。

「もしかしたら、私たち上司や先輩は、
新人たちに『仕事は大変なもの』『辛くてもやらなきゃいけないもの』という姿しか
見せられていなかったのかもしれません。
先生が全力で叱ったり、
全力でほめたりしてくれたように、
私たちも『この仕事って実は楽しいんだよ』
『この仕事にはこんなやりがいがあるんだよ』ということを、
職場の中で自然に伝えていくことが大切なんですね。
今日は大きな気づきをありがとうございました」

新入社員と向き合う時間は、
未来と向き合う時間でもあります。
だからこそ、こちらの姿勢や言葉一つひとつが、
彼らにとっての“仕事の原風景”になるのかもしれません。

そして、ふと思いました。
新入社員にとって、「仕事って楽しいんだよ」と伝えてくれる先輩は、
どれだけいるでしょうか?
気づけば、先輩たちが見せているのは
「大変さ」や「忙しさ」ばかりかもしれません。
もちろんそれも現実ではありますが、
そこに「楽しさ」や「やりがい」も含まれていること、
それを先輩が自分の背中で伝えていくことが、
何よりの関わり方なのではないか・・・
今回の研修を通じて、そんなことを学ばせてもらった気がします。

新入社員と接することで、既存の社員もまた、
新たな気づきや自分のあり方を見直す機会をもらっているのだと感じました。
教えることで学ぶ。
それを、まさに実感した一日でした。


~面談は“会話”からはじまる~
職場の風通しをよくしたい。
そんな思いから、社員との面談を始める経営者は少なくありません。
最近では「1on1ミーティング」と呼ばれ、
導入する企業も増えてきました。

1on1ミーティングの本来の目的は、
評価や指導の場ではなく、
社員の成長支援と信頼関係の構築にあります。
業務の悩みやキャリアの展望、日々の小さな気づきやモヤモヤなど、
普段の業務では話せないことを安心して話せる
「対話の場」をつくることが、何より大切です。

しかし、現場の声を聞くと、
「社長に本音は話せない」「何を話せばいいのかわからない」
といった声も多くあります。
たとえば、「最近どう?」と聞かれても、
いきなり本音を伝えるのは簡単ではありません。
「やりがいが感じられない」「非効率なやり方を見直したい」
と思っていても、それを社長に伝えるのは勇気が要るのです。

「なんでも話してほしい」と言われ、
思ったことを話したら怒られた。
そんな経験をした社員も実際にいます。

だからこそ大切なのが、「気楽に1on1」。
構えず、肩肘張らず、会話を楽しむように始めてみることです。
経営者自身がリラックスして問いかける。
社員が答えやすい雰囲気をつくる。
空気感、タイミング、表情、ちょっとした一言。
そんな積み重ねが、信頼と対話の土台になります。

「最近、売上が伸びないから面談しよう」
「文句が多い社員がいるから話を聞こう」
そんな目的では、かえって警戒を生みます。
1on1は“誰のための面談なのか”“何のために行うのか”が
明確でなければ、単なる雑談か、
逆に不信感を強めるだけの場になりかねません。

1on1は、名前の響きはカジュアルですが、
面談する側にも聴く力・問う力・関係性を築く力が求められます。

社員から「話しても何も変わらない」
「やっぱり社長には伝わらない」
と思われたら、むしろ逆効果です。
これまでの関係性があってこそ、
または、これから関係を築いていくきっかけとして、
時間をかけて信頼を育む対話の積み重ねが必要なのです。

あなたは、社員の声を聴く準備ができていますか?
1on1は、経営者自身が“聴く姿勢”を
磨くチャンスでもあります。
気楽に、でも真剣に。
それが、信頼される対話の第一歩です。


1on1ミーティングを成功させるカギは、「聴く力」です。

社員との信頼関係を築きたい、
でもどう声をかければいいかわからない。
本音を聞きたいのに、どこかで距離を感じてしまう・・・

そんな悩みをお持ちの経営者や管理職の方に向けて、
私たちは、「実践型1on1研修」を実施しています。
詳しくはコチラをクリック


4月になると、入社式や新入社員の話題があちこちで聞こえてきます。
この季節、親鸞上人の「立てば歩めの親心」という言葉が思い浮かびます。
赤ちゃんがはいはいを始めれば、次は立ってほしい。
伝い歩きをすれば、早く歩けるようになってほしい。
親は子の成長を心から願うものです。

新入社員研修に伺うと多くの経営者が
「せっかくご縁があって入社してくれた新入社員、早く一人前になって活躍してほしい!」
と期待を寄せています。
経営者の勉強会で「新入社員に1年後、2年後、3年後にどう成長してほしいか?」と話し合ったところ、
次のような意見が多く出ました。

1年目:まずは仕事を覚え、一人前にこなせるようになってほしい

2年目:少し視野を広げて、職場の改善や効率化を考えられるようになってほしい

3年目:さらにステップアップし、経営の視点を持って動けるようになってほしい

特に中小企業では、「1年目で即戦力、2年目で改善、3年目で経営参画」という
スピード感のある成長が切実に求められているようです。

もちろん、このスピードで成長できれば最高です。
でも、新入社員からすると「えっ、そんなに早く!?」と驚くかもしれません。
「早く一人前に」と言われても、
経営者と新入社員ではそのイメージに大きなギャップがあります。
一つの言葉の解釈が違えば、成長の時間感覚も違うのです。

そして何より、人の成長スピードはそれぞれ違います。
ある人は数年でグングン成長し、
ある人は10年後に大輪の花を咲かせるかもしれません。
桜にも、早咲きもあれば、ゆっくりじっくり咲く種類もあります。
どの桜も、それぞれのタイミングで美しく咲き誇るのです。

新入社員も同じ。
早く成長する人もいれば、時間をかけてじっくり伸びる人もいる。
せっかく縁あって入社したのですから、
それぞれのペースでの成長を楽しみながら見守ることが大切ではないでしょうか?

焦らず、じっくり、でも時には背中を押しながら——
そんな温かいまなざしで、新入社員の未来を一緒に育んでいきたいですね!


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