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2026.10.26

「受話器を上げて!」が通じない? ~あなたの常識は、相手の常識?~

新入社員 困惑の電話イラスト

こ

ある企業での、新入社員にまつわるお話です。
 
高校を卒業し、現場職として入社した一人の男性社員は、
工場で先輩社員から溶接や機械の部品交換などを教わりながら、
日々仕事を覚えていました。
 
ある日のこと、屋外での作業を終え、
事務所で一日の作業日報を作成していると、固定電話が鳴り始めました。
 
「プルルルル……プルルルル……」
ところが、誰も電話に出ようとしません。
 
先輩社員たちは「電話は後輩が率先して取るもの」
「電話対応も新人教育の一つ」と考え、彼に声をかけました。
「〇〇君、電話に出て!」
 
しかし、彼は固まったまま動きません。
「はよ取らんと切れるやろ! 受話器を上げるんよ!」
 
すると彼は、意を決したように勢いよく受話器をつかみ、
なんと、そのまま頭の上まで高々と持ち上げたのです。
 
その場にいた先輩社員たちは、一瞬何が起きたのかわからず、
目が点になりました。
 
実は彼、スマートフォンしか使ったことがなく、
固定電話の使い方を知らなかったのです。
 
先輩たちにとって「受話器を上げる」とは、電話に出ること。
ところが彼にとっては、文字どおり「受話器を上に持ち上げること」だったのです。
先輩たちには信じられない行動でも、
彼は言われたことを一生懸命に実行しただけなのです。
今では、その職場で語り継がれる笑い話になっているそうです。
 
さて、このお話、皆さんはどう感じましたか?
「そんなことも知らないの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
でも、考えてみれば、使ったこともないものの扱い方を知らないのは、
決して不思議なことではありません。
 
私たちはつい、自分が知っていることは相手も知っている、
自分にとって当たり前のことは相手にとっても当たり前だと思いがちです。
 
特に職場では、「これくらい言わなくてもわかるだろう」
「普通はこうするものだ」という思い込みが、
思わぬすれ違いを生むことがあります。
 
大切なのは、相手が知らないことを責めるのではなく、
「知らないことがある」という前提で伝えること。
 
そして、教わる側も「わかりません」「教えてください」と安心して言えること。
 
世代も経験も違う人たちが一緒に働く職場だからこそ、
お互いの「当たり前」を確認することが大切なのではないでしょうか。
 
「言ったはず」ではなく「伝わったかな?」
 
そんな小さな意識の違いが、人を育て、
風通しのよい職場をつくる第一歩になるのだと思います。
 
11月1日より、令和9年度新入社員研修の受付を開始いたします。
今の新入社員の常識に合わせて、わかりやすくお伝えします。
職場の当たり前をしっかりと身につけることができるカリキュラムです。
詳細はコチラをご覧ください。

2026.09.24

部下を見る目に、自分の感情が影響していませんか?

こ

人は、相手に好意を持っていると、
その人の言葉や行動を好意的に受け止めやすくなります。
反対に、一度「苦手だな」「どうせ言っても無駄」と思ってしまうと、
相手の行動まで否定的に見えてしまうことがあります。
これは、誰にでも起こることです。
 
そして職場では、立場が上になるほど、
自分の「見方」や「感情」が周囲に与える影響は大きくなります。
 
たとえば、部下への指導。
お客様からのクレームへの対応。
そして、社内でハラスメントなどの問題が起きたとき。
 
「この人はそんなことをする人ではない」
「この人には言っても無駄」
「きっと悪気はなかったはず」
そんな感情や思い込みが、
知らず知らずのうちに事実の捉え方や判断に影響することがあります。
 
だからこそ大切なのは、「人」と「行動・出来事」を分けて考えることです。
「あなたが悪い」と、その人自身を否定するのではなく、
「何が起きたのか」
「どの行動に問題があったのか」
「これから、どうすればよいのか」
を冷静に見極めていく。
 
そのためには、相手を見る力だけではなく、
自分自身の感情に気づく力も必要なのではないでしょうか。
 
先日、教育委員会から「子どもに寄り添う親であるために」というテーマで
講演のご依頼をいただきました。
その内容を考える中で、改めて感じたことがあります。
 
私たちは「寄り添う」というと、
「相手の話を聴く」「相手の気持ちを理解する」といった方法に目を向けます。
けれど、その前に大切なのは、
寄り添う側の心が、今どんな状態なのかということです。
 
イライラしているとき。
腹が立っているとき。
悲しいことがあったとき。
反対に、気持ちが落ち着いているとき。
同じ子どもの言葉を聞いても、
親の感情によって受け止め方や返す言葉は変わります。
 
これは、職場でも同じです。
上司が部下の話を聴くときも、
部下を指導するときも、上司だって一人の人間です。
 
だから「感情を持たないようにする」のではなく、
「今、自分はどんな感情で、この人を見ているのだろう?」
と、一度自分に問いかけてみる。
それだけでも、いつもの反応から少し離れて、
自分の言葉や行動を客観的に選べるようになります。
 
人を育てる立場になるほど必要なのは、
相手を変える技術だけではありません。
自分の感情を知り、自分の見方の癖に気づき、
感情に振り回されずに相手と関わる力。
 
これは、管理職のマネジメント、部下育成、1on1、
ハラスメント防止、クレーム対応など、
さまざまな場面の土台になる力だと考えています。
 
私たちの研修では、「感情を抑える」ことを目的にはしていません。
自分の感情に気づき、事実と感情を分け、
相手の人間性ではなく「行動」に目を向ける。
そして、相手との関係を壊さずに、伝えるべきことを伝える。
 
そんな実際の職場で使えるコミュニケーション力を、
事例やワークを通して一緒に考えていきます。

2026.08.27

部下は本当に成長していませんか?

先日、スタッフからこんなLINEが届きました。
自分が講師を務めるセミナーのチラシが作られ、
広報誌にも掲載されるようになったこと。
そして、そこまで成長できたことへの感謝が綴られていました。 
その中に、お父様との思い出が書かれていました。 
彼女がこの仕事を始めて間もない頃、実家に帰ると、
お父様が一冊のスクラップブックを見せてくださったそうです。 
そこには、私たちの会社の講師が各地でセミナーをしている新聞記事や
広報誌の記事が、大切に貼られていました。 
「K&Yの講師の人はいろんなところで活躍しよるんじゃね。
この前はテレビのニュースでも言いよった。
いつかお前もこんな風になるんかなぁと思って、お父さんはとっちょるんよ」 
当時、まだ駆け出しだった彼女は、
「ふたりはすごいけど、私はそんな風にはなれんよ~」
と答えたそうです。
 
それが今、現実になりました。 
残念ながら、その記事をお父様のスクラップブックに
貼ってもらうことは叶いませんでした。
でも、もうすぐ命日なので墓前に報告したい、と。
 
このLINEを読んで、胸が熱くなりました。
 
娘が新しい仕事に挑戦することへのお父様の不安、期待、
そして「いつかきっと」という応援の気持ち。
記事を一枚一枚切り抜きながら、
娘の未来を思っておられたのだろうと思います。
 
人の成長について、改めて考えさせられました。
 
時々、管理職の方から「うちの社員はなかなか成長しない」
という言葉を聞くことがあります。
 
でも、本当に成長していないのでしょうか。
 
もしかすると、成長していないのではなく、
私たちがその成長にまだ気づいていないだけなのかもしれません。
 
人の成長には公式がありません。
 
一年で大きく伸びる人もいれば、
何年もかけて力を蓄え、10年目に驚くほど花開く人もいます。
 
そして、上司が「成長した」と気づくずっと前から、
本人の中では小さな変化が始まっているのではないでしょうか。
 
自分の思い描いた通りの変化だけを「成長」と考えてしまえば、
その人が持っている別の可能性を見落としてしまいます。
それは、とてももったいないことです。
 
だからこそ、部下の小さな変化を見つけ、焦らず、
どこまで見守り続けられるか。
そこにも上司の力量が表れるのだと思います。
 
毎日の仕事の中で、程度やスピードに違いはあっても、
人は少しずつ何かを学び、変化しています。
 
そして、その成長の方向をつくっていくものが、会社の文化であり、
上司や周囲の人との関わりなのではないでしょうか。
 
ただ、成長するのは部下だけではありません。
 
部下の成長を見守り、悩み、ときには教えられる中で、
上司や経営者もまた成長させてもらっています。
 
人の成長は、上から下への一方通行ではなく、360度。
 
お互いの関わりの中で、お互いが育っていくものなのかもしれません。
 
「私は、部下から何を教えてもらっただろう」
「部下のおかげで、自分の何が変わっただろう」
 
たまには、そんな問いを自分に向けてみるのもいいのではないでしょうか。
 
もしかすると、部下の成長を探しているうちに、
自分自身の成長にも気づくかもしれません。
 

2026.07.20

ここが私の居場所

  

「ここが私の居場所」
新人が教えてくれた、私たちが作った職場の温かさ

 
 照りつける夏の日差しとともに、連日厳しい暑さが続いています。
 4月に入社した新入社員のみなさんも、職場に配属されてから早いもので3ヶ月が経ちました。
 今年、職場の仲間に加わってくれた新卒採用のAさん。
 いつも明るく活発で、 「まずは何でもやってみます!」と果敢にチャレンジしてくれる頼もしい存在です。
 時には、その溢れる元気が空回りして、少しだけおっちょこちょいな一面を見せて周囲を和ませてくれる、まさに職場のムードメーカーでもあります。
 
 そんなAさんは現在、月に1度新人研修を受けています。

 先日、研修の合間にふと気になって、彼女にこんな質問をしてみました。
 「職場にはもう慣れた?」
 するとAさんは、こちらが驚くほどの即答で、満面の笑みを浮かべてこう答えてくれたのです。
 「はい!仕事が楽しいです。というより、職場に行くのが毎日楽しみなんです!」
 長年、新人教育に携わってきた私ですが、これほどストレートで嬉しい言葉を、この時期に新人の口から聞いたのは初めてかもしれません。
 「何がそんなに楽しいの?」と、嬉しさを隠せずさらに深掘りして聞いてみると、彼女は目を輝かせながら続けてくれました。
 「職場の雰囲気がすごく良いと思うんです。わたし、職場がこんなに温かい場所だなんて思っていませんでした。仕事を教えてくれる先輩も、何かと相談に乗ってくれる上司も、本当に優しくて……。わたし、定年までここで働きたいって、もうすでに思っています!」

 気がつけば、話を聞いていた私の方が、胸がいっぱいになっていました。
 それと同時に、日頃から彼女を支え、見守っている指導先輩や、職場の皆さんの顔が次々と頭に浮かんだのです。
 新入社員を育てるというのは、決して簡単なことではありません。
 「自分の説明で伝わっているだろうか」「声をかけるタイミングは今でいいのかな」と、指導する側の先輩たちも、日々悩み、試行錯誤しながら彼女に向き合ってきたはずです。
 Aさんの「毎日職場に行くのが楽しみ」という言葉は、そんな先輩たちが注いできた「温かさ」が、彼女の心にしっかりと届いている証拠に他なりません。
 私たちが当たり前のように作ってきた職場の空気が、一人の若者の未来を「ここで定年まで働きたい」と思わせるほど、安心できる居場所にしていたのです。
 新人研修の1コマで起きた、この小さな、だけどとても温かい奇跡。

「最近、教えるのに少し疲れちゃったな」と感じている先輩社員のみなさん、どうぞ自信を持ってください。
 あなたの日々の優しい声かけや、おっちょこちょいな失敗を笑ってフォローするその包容力が、新人を最高の笑顔にしています。
 Aさん、素敵な言葉をありがとう。
 さあ、私たち先輩も負けていられませんね。
 彼女が40年後(!)に本当に笑顔で定年を迎えるその日まで、この温かい職場をみんなで大切に守り、一緒に育てていきましょう。

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