社員教育は100本ノック
会社では次々と問題が発生します。
もし、それを「社員が悪いからだ」と考えてしまえば、
経営者としての責任を放棄し、他責にしてしまうことになります。
しかし、ある社長は「受けて立つ」と決意しました。
その瞬間から、これまでのツケも回り、次々と難題が押し寄せてきました。
しかし社長の姿勢が変わると、
問題の捉え方や解決の糸口も変わってきました。
完璧な解決には至らなくとも、
一つひとつの課題に真正面から向き合い始めたのです。
これまで「見たくない」「聞きたくない」と避けていたことも、
「自分を鍛えてくれるトレーニングだ」と捉え直しました。
社長自身、「まるで100本ノックだな」と笑いながら、
1本、2本、3本、4本、5本……と次々にノックを受け続けました。
社長の心の声
そんな中で、ふとこぼれた社長の本音。
「時には優しいノックも欲しいなぁ。
毎回毎回、なかなか厳しいノックが飛んでくる。
もちろん、成長のためには手加減は許されないことは分かっているけど……
たまには柔らかいノックも期待しちゃうよ。」
しかし、そんな弱音を吐きつつも、
社長は楽しんでいるようでした。
次にどんなボールが飛んでくるのか、
少しワクワクする気持ちも芽生えてきたのです。
「死ぬほどつらい」と言いつつ、
「次はどんな課題が来るのだろう」と期待している自分もいる。
もちろん、厳しいノックを受けたときには、
先が見えず、食事ものどを通らないほど追い詰められることもあります。
しかし、見事にキャッチできたときには、
言葉にできないほどの達成感と幸福感に包まれるのです。
100本ノックの意味
社員の誰が、どんなボールを打ってくるかは分かりません。
しかし、ノックを「会社の問題解決のチャンス」と捉え直すことで、
見える景色は変わります。
人間関係も同じです。
自分にとって心地よい距離感でも、
相手には居心地が悪いことがあります。
その逆もしかりです。
飛んでくる打球を見極め、
適切な距離でグローブを差し出せば、
きっとキャッチできるはず。
ノックを取れないのは、
もしかするとボールとの距離感が合っていないのかもしれません。
100本ノックは、あくまで「自分の成長のため」。
自分が変われば、問題の見え方も変わり、取り組み方も変わり、
解決への道が開けてくるでしょう。
今、何本目のノックを受けているのか分かりません。
でも、確実にスキルが身についていることは間違いありません。
社長への100本ノック――それは、社員からの愛情なのかもしれませんね。